○音楽/ドキュメンタリー
○2004フランス/75min/アルバトロス・フィルム/公開2006/08/26

最新作、親密すぎるうちあけ話 (2004)と同じ年、 パトリス・ルコント監督が、深い感銘を受けた楽曲”DOGORA”に乗せて、カンボジアの日常の風景が延々と映し出される作品です。
ほんと、はじめにひとこと言葉があった以外は、延々とです。
この作品、個々人の物語については語られることはなく、どちらかといえば、貧困の中にあるカンボジアの人々全体を描いているともいえなくもありません。作品はあくまでも淡々とその姿を映し出しているだけです。
音楽の効果?なのか、時々遠のく意識を覚醒させながら見ていたのですが(笑)、半分ほど見た段階で、これは映画ではなくて、写真をスライド方式で見せる写真展のような気がしてきました。動画ではあるけど、ひとつひとつのショットは、まさに報道写真から受けるようなインパクトがあります。
貧困の果て、ごみ山でリサイクルできるゴミを一日中集めている子供たち、スラム街の中の子供たち、ストリートチルドレン、物売りなどなど、映し出されるのは子供たちが中心ですが、シクロの運転手の、心を失ったような目が忘れられません。そして、クローズアップされる子供たちの目にも、その片鱗がみえるのです。ただ、遊んでる時だけは、子供達の目に一瞬、生命力が宿るように写ったのは私だけでしょうか…。
カンボジアの内情がこれほどまでとは思わなかったのですが、最貧困層の割合は国民全体の34%とのこと。児童労働、児童売春、障害児、孤児/捨て子、戦禍の子ども…子供達を取り囲む問題は山済みのようです。
配給元のアルバトロス・フィルムの紹介記事には”生命のパワーに満ち溢れてる”とありますが、受け止め方の違いでしょう、私には、本来持ってる”生命のパワーがはぎ落とされそうな”子供達という風に写りました。
個々に入り込まず何が起こってるのかを映し出し感じさせる。ルコント風のカンボジア最貧困層ドキュメンタリーなのかもしれません。
娯楽映画ではないし、ストーリーもありません。映画といえるかどうかもわかりませんので、特段お勧めしませんが、私にとってはカンボジアが気になりだした作品です。
監督: パトリス・ルコント
製作総指揮: フレデリック・ブリヨン
ジル・ルグラン
撮影: ジャン=マリー・ドルージュ
編集: ジョエル・アッシュ
音楽: エティエンヌ・ペルション
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こんにちはー
国際結婚された姪御さんが住んでいらっしゃるんですね。私は実際に行ったことが無いのでなんとも言えないのですが、一心不乱に配給された食事を食べる子供たちの姿は、”生きるために生きる”姿であり、”活き活きと生きる”という”本来の生きる姿”として写ることはありませんでした。
戦後の日本の状況は、当時幼かった父母から聞いてはいますが、実感としては分からないというのが正直なところです。
映像が溢れてるこの時代、いろんな厳しい状態の映像を見てますが、ルコントの視点の定まった75分の映像は、何かを心に残してくれました。
今、ポスターの絵を見て確認したのですが、この”サイケ風!”の絵は、アートディレクター 柿木原政広 さんの線画に、イラストレーターの 大塚いちお さんが着彩したものだそうです。なかなかいいですよね。
こんにちはー
この映画のDVD、記憶違いでなければ、映画館の受付で発売してたようですが…、日本で市販されるのは、12月下旬ごろのようです。
機会があったら是非見てくださいね。
claudiacardinareさんの感想を聞いてみたいです。
私もこのサイケなポスターは、好み
ですう・・
ガーデンプレイスに行ったときに
みたい!!と思いながら、時間がなくて
あきらめていたところでした。
でも、J.T.さんの感想を読ませていただいて、うーーん、やっぱりみにいきたい!!
って思ってしまいました。
「美しい人」もみたいんですよねえ・・
こんにちはー
ガーデンプレイスまで行かれたのに…ホント、残念でしたー
それに「美しい人」は気に入ってるだけに、是非masami さんにも見ていただきたい作品だと思ってるんですよ。
お忙しいとは思いますが、時間が取れるといいですね。
レス大変遅くなりました。
なるほど、東洋人と西洋人の見え方の違い・・・納得です。”貧しさえも、エキゾチックな魅力として”というBiancaさんの言葉にはハッとさせられました。この映画、とても特殊なものでしたが観ておいて良かったと思ってます。