
5人の物語がオムニバス形式ではなく、絶妙に絡まってゆくところが見事で、実に完成度の高い作品となっています。
彼女達が抱えてる人間模様は、ユニークであるけども身近にありがちなドラマで、彼女達を取り巻く彼、夫、友人、子供達に揺り動かされながら物語が展開してゆきます。
・・・遠く記憶の彼方から舞い戻ってきたときめく恋心を抱く女であり、試練を背負った母
・・・時間が止まってしまったオトナのような少女
・・・夫との関係が醒めかけてしまった、さ迷える妻
・・・幸せな恋が逃げて行くのが怖くてそれにしがみつく恋人
・・・幸せをつかんだと思った瞬間に試練を授かった母
彼女達が展開するドラマは、いつの間にかほつれた糸をより戻すように、ひとつの時間とひとつの空間に収束してゆきます(意味がわからないかもしれませんが、これがこの映画の面白さの要素でもあるのでこんな表現に留めておきます)
スペイン映画であり、監督は初めて長編映画にトライしたラモン・サラサール。5人の女性、アデラ・レイレ・マリカルメン・アニータ・イザベルを演じたcast達はいずれも実力ある演技をし、スペイン人的な熱さを感じさせてくれたました。特にバスク人とヨルダン人のハーフのレイレ役のナイワ・ニムリは、雰囲気がとてもエキゾチックで気になる存在でした。
男性陣のホアキン・クン・レオナルドもまったく違ったタイプの三様の男であるのもよかったのかもしれません。
この映画の135分 、私は始まりから引きずり込まれ、あっと言う間に過ぎてしまいました。ハリウッド的な派手な映画ではなく、原題からは読取れない「靴に恋して」というキャッチな邦題は、ロマンチックな雰囲気を醸し出しますが、この映画の中の靴は恋されてるだけではありません。ただ、”靴の数だけ、人生がある”というサブタイトルはまさにその通り。
ヒューマン映画としてお薦めできる映画だと思っています。
2002年 スペイン映画
2004年10月 2日日本公開
2005年 5月25日DVD発売
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TBありがとうございます。
私も田舎育ちの東京人です(笑)
この映画もそうですが・・スペイン映画の
人間の心の裏表の正直な表現が好きではまって
おります。いいですよね・・
スペインの映画のそういうところ私も好きですよ。トーク・トゥ・ハーなんかも難しいところはありましたが正に”正直な”表現がありましたね。
素敵な映画のレビュー期待しています。
よろしくです。
群像劇の面白さが堪能できました♪
みんなが、かかわりをもってつながっているのがわかってくる後半、面白かったですね。
関係のない人物達が・・というのでは「アモーレス・ペロス」がおもしろかったです〜〜。
TBいただいて行きます♪
この物語をどうまとめるのかと思いましたが、
”つながって”ゆくのがほんと面白かったですね。
「アモーレス・ペロス」まだ観てないので
今度見てみます。ありがとう。
イザベラの靴って、自分を痛めつけて夫に気が付いて欲しいっていう欲求不満の現れだよね〜と思ってみていました。
夫がラストで戻ってきましたが、彼女行っちゃいますよね。
でも、もしかしたら・・・また彼女は彼のもとに戻ったかな〜?と後で思いましたよ。
どうなったんでしょね〜〜。
そうかー、夫に気がついて欲しかったとは…
そうですよね。なかなか結論が出せなかったのだから彼女は最後のサインを発してたということ。
でも、あそこまで行ってしまうと
元に戻るのは難しいのかもしれませんね。