2005年08月07日

猟人日記

ryoujinn.jpgまず、なぜ邦題に『猟人日記』という名称がついたのかが気になりました。
広辞苑によると”猟”とは、狩の意味以外に ”あさること、広くさがし求めること 「渉猟」「猟奇」 ”とあるんですね。

「渉猟」 とは、広くわたり歩いてさがし求めること
「猟奇」 とは、奇異・異常なものに興味をそそられてあさり求めること
ということは、この映画は「渉猟」のほうなんでしょう。

この映画の原作は、50年代の作品であるアレグザンダー・トロッキ(Alexander Trocchi )の 『ヤング・アダム』
リアルタイムで存在していなかったので、本当の意味で50年代前後のムードというのはわかりませんが、日本の いま は社会的な目的意識不在の時代、まあ無理やり当てはめれば「渉猟」の時代ともいえない事はないですね。その いま の時代を生きる我々にとって、どこかシンパシーを感じるテーマではあるのです。

ちょっとネタバレになりますが、ユアン演じるジョーは、作家を志望するけど、社会的にも安定したせいか、心の内にどうしても表現したいようなテーマが見つけられなかったのでしょう。表現したい、でも何を書いていいのかわからない。そんな不満が彼を愛する女性にぶつけられますが・・・
その後、彼は 「渉猟」 することも止めて、運河を運行する貨物船のように流されてゆくことになり、夢想と事実と現実の狭間で苦しむことになります。冤罪と女性達の現実に根付いた力強さが現実として彼につき付けられます。

ユアンは男性からみても色気を感じるし、演技力も優れた俳優です。
ティルダ・スウィントンはなんとも言えぬオーラを発する女優。・・・俳優には、その演技力で好きになる人と、なんともいえぬカリスマ性によって惹きつけられる人がいますが、私にとって彼女は両方を兼ね備えた俳優のような気がします。

この映画、内容的には淡々と進んでゆくのですが、結構引き込まれました。ユアンとティルダというキャスティングと二人の演技が良かったのが大きいのですが、わかり難くなりそうな二つの時間軸を絶妙に表現した脚本と監督の力量、そして音楽が(あのTALKING HEADSのディビッド・バーン)映像とストーリーにマッチしていて、音楽の効果相当ありました。実は、頭の中に今でも残ってます。
いかにも刹那的な性描写のシーンも出てきますが、とても心に残る作品でした。


posted by J.T. at 15:06| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(2) | 鑑賞した映画2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
リンクをして頂き有難うございました。
早速ですが、去年観た数少ない映画の記事を見つけたので、少し前のものになってしまいますがTBさせて頂きました。
「社会的な目的意識不在の時代にシンパシーを感じるテーマ」なるほど。
暗い過去を背負うというよりはむしろ行き場のない自分の行き先を捜し求めている、ということですね。深いです。
Posted by hiroko at 2006年01月06日 22:26
hirokoさん。

こんにちは〜こちらこそリンクありがとうございます。
ところで、この映画を見た頃から比べると少しずつ景気も上向いてきて、
ずっと続いてきた閉塞的な気持ちにも少し光が差してきたような気がします。
わずかな光でも暖かい気持ちになれるのは自分が単純な人間だからでしょうか(笑)
その後、映画の中の彼にも光が差したのでしょうか。

大スターになっても、こういった映画に出演するユアンもなかなかのものですが、
コンスタンティンでなんとも言えぬ中性的な魅力を発したティルダ・スウィントン。
役を演じてるとは思えないほどなりきっていましたね。
Posted by J.T. at 2006年01月06日 23:22
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猟人日記  [シアターイメージフォーラム]
Excerpt: もうすぐ終わりそうなので、ユアンの主演ですし、「猟人日記」を観てきました。私は死体などの映像が苦手なのでパスしようと思っていたのですが、あまり怖くないと聞いたので。なるほど、怖くないです。ただ、心理的..
Weblog: 恵比寿・目黒 スローライフ。
Tracked: 2006-01-06 22:17

猟人日記
Excerpt: うーん・・・いまいち分からなかったなーというのが第一。 題名と内容とのギャップが結構ショックでした(笑) でも相変わらずユアンの演技は色っぽいし、アダルティー。 人間の欲望とか..
Weblog: 蜜味
Tracked: 2006-02-22 15:20
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