
ならどうして今頃見ることになったというと、最近絆を巡る出来事に多く遭遇したことがきっかけになったというべきでしょうか。ふと見ないで保存しておいたDVDが目に付いたのです。
よく出来ていました。
160分でよくまとめたと・・・最後のシーンで見せた大林監督の思い入れの部分は要らないと思いましたが、原作と組み合わせてみる映画としてはなかなか成功していると思います。今まで小説を映画化した作品は、原作とのギャップが大きすぎてガッカリさせられることが多かったですからね。この映画ならどちらから先にみてもいいと思います。
ただし、小説と組み合わせないとやはり難しいと思います。
一つの殺人事件をルポタージュ方式の証言で紐解いてゆくことと、その ”紐を結んでいる力” が ”絆” であることは原作を読まないと感じ取れないかも知れないからです。
ということで、原作をとても大切にしていたのが映像セット、照明などの隅々でも感じられましたし、とにかくキャスティングがいい。マンションの管理人の岸部一徳は見事にはまってたし、石橋蓮司、勝野洋、赤座美代子、柄本明等々・・・、相当数出てくる俳優が素晴らしい演技をしてたのもよかった。ルポタージュ方式で語ってゆく構成のためか女優もノーメイクだったりしたけど、とても庶民的な自然な感じが出てましたね。
「理由」という小説は、「いまの社会と家族の絆」を描いたドラマだと勝手に解釈しています。宮部みゆきさんの小説は、推理の面白さ以上にひとの心の奥深いところを掘り出してゆくパワーがあります。映画化では失敗しましたが「模倣犯」での個々人の心を内面からあぶりだすやりかた、「火車」での外堀から内堀までじっくり埋め尽くすやり方など、人間描写の技法は特筆するものがあります。
「原作 宮部みゆき 監督 大林宣彦」として、見る側も納得できる作品です。
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この映画、TVでちょっと見たんですが、確かにいろんな人が出演していましたね。
宮部さんの作品の映画化は、大体がっかりさせられるので期待していなかったのですが、大林節をきかせながらも、良かったですよね。
でも、じっくり映画を見なかったので機会があったら見たいと思います。
そうですね、原作に近いものを感じました。
ラストシーンや映画のセットをみせてしまうところはちょっと残念でしたが・・
頭の片隅に置いといて、ふっと思いついたときに観てはいかがでしょうか。なんとなく見る長編TVドラマ見たいな感じでみると良いかもしれませんよ〜